目には見えないデート

月は、昨夜のうちにほとんど欠けなく輝いていて、「これはまた夜桜日和」と、夫と青連院の夜桜を見て来ました、私は桜よりも寺院内の壁に描かれた孔雀の絵のなかの蝶々に見とれてしまいました。

白地に黒い斑点が広がるモンシロチョウの羽根が、一枚は大きく広がり、もう一枚は波のように沈んでいき、また浮上しようとしています。砂浜から、海を見ているとき、手前の波が崩れ、また向こうから波がせり上がってくるうねりのようです。

蝶々は、音もなく飛んでいるのに、羽根の跡に歪みを残していきます。その微細な空間に、音楽がみえます。みえるのに、耳には聴こえず、だけど耳に残る音楽。

私はそういう、情報よりも先に身体に流れ込んでくる、余白のある絵とか音楽とかが好きです。ライトアップされた桜もとっても楽しいのですけど、光が消える瞬間にここでキスしてくれないかなとかそういうことばかり考えます。

夫の頰はとてもいい香りがします。首筋は余白です。私をうずめるための。

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